健康のためなら命なんかいらない ― 戦略とROAの関係 ―

楽しく学べる!財務・マーケティング

楽しく学べる!財務・マーケティング NO.14

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🟦1.財務分析とマーケティングが交わるポイント

マイケル・E・ポーターは企業の基本戦略を ①コスト・リーダーシップ戦略差別化戦略集中戦略 の3つに分類している。

このうちコスト・リーダーシップ戦略は、広い市場を対象に「競合より低いコスト」を武器に戦う戦略である。コストという明確な定量指標があるため、3つの戦略の中でも最も理解しやすく、採用企業も多い。

一般的には規模の経済や経験効果が働きやすい業界で選択されるが、「ローコストを目指す」という発想自体は企業戦略の王道と言える。

コストには生産・調達・流通・開発など多様な種類があり、どのコストを戦略的に重視するかは業界特性だけでなく、企業のビジョンや環境分析によって決まる。「この業界ならこのコストを削減すべき」という“お約束”に頼るのではなく、戦略ロジックに基づいて判断することが重要である。

🟦2.コスト・リーダーシップ戦略とROAの関係性

企業の戦略は財務指標に必ず反映される。コスト・リーダーシップ戦略を採用する企業のROANO.6)には、次のような特徴が見られる。

  • 売上高利益率:低め コスト競争力を武器にするため、価格設定は低くなりがち。その結果、売上高利益率は低くなる。特に売上総利益率が戦略性をよく表す。
  • 総資産回転率:高め ディスカウントストアに典型的で、低い粗利でも利益を確保するため販売管理費を徹底的に抑える“ローコスト・オペレーション”が必須。 また、店舗などのハード投資も抑えるため総資産が小さくなり、売上高との組み合わせで総資産回転率が高くなる。

一方、差別化戦略ではこの関係が逆転する。この点は次回詳しく扱う。

🟦3.コスト・リーダーシップ戦略に潜む誤解

コスト・リーダーシップ戦略はしばしば誤解され、「どこよりも安く売ること」が目的化してしまうことがある。しかし本質はそこではない。

本来の要諦は、競合と同じ価格設定でも最も高い利益率を確保できる構造をつくることにある。

業界全体がこの戦略を採用すると、最終的には1社しか生き残れない“トーナメント戦”のような状況になる。2001年のファストフード業界の低価格競争は、その典型例である。

コスト・リーダーシップ戦略を採用する企業は、削減するコストに応じてビジネス・システム全体を再設計しなければならない。

  • 開発コストを削れば → 製品開発はフォロワー型に
  • 流通コストを見直せば → デリバリーやプロモーション体制が変わる

こうした構造改革を伴わず、単に価格だけを下げるのは本末転倒である。 それはまさに「低価格のためなら利益なんかいらない」と言っているようなものだ。

桂文珍の名言(?) 「健康のためなら命なんかいらない」 と同じ構造である。

次の記事(NO.15「振りむかないでいてほしい-戦略とROAの関係(その2)-」はこちらです。→公開準備中

前の記事(NO.13「だって好きなんだもん♡-企業分析のスタンス-」)はこちらです。

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シリーズ1:簿記はいらない!経営分析

シリーズ3:YOKOHAMAの歌を読む

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