どうにもとまらない…… ― 組織における慣性の法則

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🟦1.製品ライフサイクル(PLC)とは

マーケティングでPPM(Product Portfolio Management)と並んでよく使われる概念が、製品ライフサイクル(Product Life Cycle:PLC)である。 PLCは、新製品が市場に登場してから姿を消すまでの流れを、いくつかの段階に分けて捉えるフレームワークである。

典型的なPLCは、 導入期 → 成長期 → 成熟期 → 衰退期 という順に推移し、売上は導入期から成長期・成熟期にかけて上昇し、成熟期をピークに衰退期へ向けて下降する。全体としてはS字型のカーブを描く。

🟦2.PLCの4つのステージ

導入期(Introductory Stage)

新製品が市場に投入される段階。 需要創造のために研究開発費・広告費・プロモーション費などの投資が大きく、多くの場合は赤字となる。 製品認知を高めるため、マスメディア広告が多用される。

成長期(Growth Stage)

市場規模が急速に拡大する時期。 競合企業が参入し、競争激化により価格下落が起こりやすい。 売上は伸びるが、利益は競争の激化によりピークを迎えやすい。 事業リスクは成長期後半で最大化する。

成熟期(Maturity Stage)

市場成長が鈍化し、飽和状態に近づく。 耐久財では買い替え需要が中心となり、消費財でも自然増にとどまる。 市場成長性が低いため、他社シェアを奪わなければ売上が伸びない「ゼロサムゲーム」に近づく。 競争はさらに激化し、撤退企業も出てくる。

衰退期(Decline Stage)

売上・利益が急速に減少する段階。 縮小要因として、社会的トレンドの変化、規制、そして代替製品の登場がある。 例:レコード→CD、ポケベル→携帯電話。

🟦3.トレンドと景気サイクルの関係

PLCの分析では、製品トレンドと景気サイクル(景気循環)を合わせて考える必要がある。

  • 成長期の製品 景気拡大期には売上が大きく伸び、景気後退期でも影響は比較的軽微。
  • 成熟期・衰退期の製品 景気拡大でも大きな伸びは期待できず、景気後退では大きなダメージを受けやすい。

典型的な失敗例として、 「成長期のピークで生産が追いつかず設備投資を実施 → 完成時には成熟期入り → さらに景気後退 → 需要減少 → 投資負担が重荷となり倒産」 というパターンがある。

🟦4.PLCの多様なパターン

PLCは必ずしも4段階の典型パターンだけではない。

スタイル

住宅・衣服・芸術など、流行に左右されにくく、緩やかな盛衰を繰り返しながら長期間続く。

ファッション/ファッド

  • ファッド(fad):爆発的に売れ、短期間で急速に衰退する。
  • ファッション:ファッドほど極端ではないが、比較的短期の流行。

ファッド的ヒットを「長期トレンド」と誤認すると、経営判断を誤る危険がある。

🟦5.組織に働く「慣性の法則」

経営の意思決定は、実行までに時間がかかる。 船の舵を切ってもすぐには方向が変わらないように、組織にも慣性が働く。

例:

  • 販売方法を変えるには、販売員研修など準備が必要
  • 品揃え改善には仕入先変更などの調整が必要
  • 実行システムの構築が弱いと、戦略転換がいつまでも実現しない (例:10年間「来年からケータリングを始める」と言い続けるレストラン)

戦略的発想が弱い組織は、戦略・戦術よりも「目の前の戦闘(オペレーション)」を優先しがちで、慣性が強く働く。 その結果、戦略転換期にあっても「どうにもとまらない」状態に陥る。 これはすなわち「組織が動かない」ということである。

🟦6.PLCへの批判

PLCは便利な概念だが、批判もある。 各時期の判断基準が主に売上高であるにもかかわらず、その売上高の説明にPLCの時期を用いるため、自家撞着ではないかという指摘である。

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次の記事→NO.19「ABCは知ってても-販売力の分析と「経営実態」-」はこちらです。→公開準備中

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