楽しく学べる!財務・マーケティング NO.22
🟦1.PPMとは何か:4つの象限が語る製品の運命
マーケティングの世界で、No.18で取り上げた PLC(製品ライフサイクル) と並んで有名なのが、ボストン・コンサルティング・グループが開発した PPM(Product Portfolio Management) である。
PPMは、
- 縦軸:市場成長率(市場の魅力度)
- 横軸:相対的マーケットシェア の2軸で構成されるマトリクスに製品群を配置し、4つのカテゴリーで評価する手法である。

🟦2.4つのカテゴリーの特徴
● 花形(Star)
高成長 × 高シェア。 競争が激しく、シェア維持のためにコストがかかるが、制圧できれば将来の主力市場となる。
● 金のなる木(Cash Cow)
低成長 × 高シェア。 成熟市場にある主力商品で、企業の利益源となる。 ここで生み出したキャッシュは「問題児」や「花形」への投資に回される。
※「Cash Cow」が日本語で「金のなる木」と訳される理由 山田英夫氏『ビジネス版 悪魔の辞典』によると、 「日本は農耕民族なので植物で表現するが、欧米は狩猟民族なので“金を生む牛”となる」 と説明されている。
● 問題児(Problem Child)
高成長 × 低シェア。 市場の魅力は大きいが競争優位が確立できていない。 「花形」に育てるには多額の投資が必要で、金食い虫になるリスクもある。
● 負け犬(Dog)
低成長 × 低シェア。 将来性が乏しく、撤退を検討すべき領域。ただし、低コストで利益確保に徹する「収穫」戦略もあり得る。
🟦3.PPMの応用範囲:製造業だけではない
PPMは製造業をモデルにした古典的手法だが、応用範囲は広い。
- 小売業:商品分類別にPA(ポートフォリオ分析)を行い、品揃え改善に活用
- 多店舗展開企業:店舗別PAで店舗管理に利用
- 卸売業:地域別データでエリアマーケティング
- 金融機関:エリア分析に応用
実務現場での活用例は多くないが、考え方としての有効性は高い。
🟦4.PPMとPLCの関係:トレンドを読む力
PPMの位置づけは、製品のトレンド(PLC)とも密接に関連する。
- 金のなる木:通常は成熟期
- 花形:成長期で、成熟期に入れば「金のなる木」へ
- 問題児:成長期だが競争優位が弱い
- 負け犬:成熟期〜衰退期で、投資効果が期待しにくい
🟦5.景気循環とポジショニング:願うだけではスターになれない
景気が好転しても、PPMで「問題児」や「負け犬」に位置する製品は大きな成果を期待しにくい。 同様に、企業自身のポジショニングが弱ければ、景気拡大の恩恵は限定的である。
「景気がよくなれば……」と願うだけの経営者は評価できない。 一方、不況下でも自社の状況を踏まえて打ち手を考える経営者は、姿勢として有望である。
担当者には、
- 「よくない経営者」を適切に「よくない」と評価し、
- 数少ない「有望な経営者」を見抜く力 が求められる。
■関連記事はこちらです。
PLC→NO.18「どうにもとまらない-組織における慣性の法則-」
■前後の記事
次の記事→NO.23「ビートルズはなぜ売れたか-大衆市場とマーケティング」
前の記事→NO.21「戦略的っていわないで-マネジメント・サイクルに対する誤解」
■その他のシリーズ
シリーズ4:映画×音楽の交叉点-60~70年代の映画と音楽の記憶- →公開準備中・7月から公開予定
シリーズ5:地域金融機関という人間牧場-いろんな人がいた- →公開準備中・7月から公開予定