YOKOHAMAの歌を読む NO.4        1969 本牧ブルース ザ・ゴールデン・カップス

YOKOHAMAの歌を読む

このシリーズの全体構成・SET-LISTはこちらです。

1969年「本牧ブルース」とゴールデン・カップスの転換点

ザ・ゴールデン・カップスの6枚目のシングル「本牧ブルース」は1969年に発売された。直後にエディ藩とケネス伊東が脱退したため、これはオリジナルメンバーによる最後のシングルという位置づけになる。

作詞はなかにし礼、作曲は村井邦彦。完成度の高い佳曲だが、興味深いのは“本牧”という地名が歌詞に一度も登場しない点である。

タイトルに“本牧”が出てこない理由

以前、ご当地ソングの多くが「恋と涙と地名の連結」という平板な構造に陥りがちだと述べた。しかし「本牧ブルース」はその対極にある。 タイトルと歌詞が直接結びつかない曲は少数派で、ご当地ソングではなおさら珍しい。むしろこの曲は“ご当地ソングではない”と考えた方が自然かもしれない。

サウンドが語る本牧の空気

サウンド面では、デイヴ平尾の意外にも癖のないボーカルと、エディ藩のギラついたギターソロが強烈な印象を残す。歌詞に地名がなくとも、音の質感そのものが本牧の空気を伝えているように感じられる。

本牧という街とカップスの象徴性

ゴールデン・カップスというバンドは、アメリカ文化と日本文化が混ざり合った独特のエリア=本牧を象徴する存在だった。 オリジナルメンバーのケネス伊東は早世し、アイ高野、柳ジョージもすでにいない。ルイズルイス加部、マモル・マヌー、デイヴ平尾エディ藩もこの世を去った。今も残るのはミッキー吉野だけだ。

浜っ子が忘れない1960年代の記憶

街と音楽がここまで融合した例は稀であり、本牧ゴールデン・カップスはその象徴的な組み合わせだった。その音楽がロックであったことも幸運だったと言える。 1960年代に「本牧ブルース」を残したバンドとして、ザ・ゴールデン・カップスの名は浜っ子の記憶から消えることはないだろう。

補記:ザ・ゴールデン・カップスの音楽性

ゴールデン・カップスは、横浜本牧を拠点に活動し、日本のロック黎明期にブルースやR&Bを本格的に取り入れたバンドとして知られています。3rdアルバム『BLUES MESSAGE』は、彼らのブルース志向が最もよく表れた作品で、「本牧ブルース」もこのアルバムに収録されています。

近田春夫氏の著書『グループサウンズ』によれば、この曲はブルース・プロジェクトの「I Can’t Keep from Crying Sometimes」に強く影響を受けているという。近田氏は「カップスで一番歌いたくなる曲です」と記している。

Amazonで『BLUES MESSAGE』を見る

また、ゴールデン・カップスを語るうえで欠かせないのが、ルイズルイス加部のベースです。「銀色のグラス」において縦横無尽に奔るベースは、彼の実力と存在感を象徴する名演と言えます。この曲を含むベスト盤『THE GOLDEN CUPS Complete BEST “BLUES OF LIFE”』は、代表曲を網羅した決定版で、バンドの魅力を総合的に味わえる内容です。

Amazonで『THE GOLDEN CUPS Complete BEST “BLUES OF LIFE”』を見る

■関連記事はこちらです。

柳ジョージ」→NO.13「Y.O.K.O.H.A.M.A.」→公開準備中

次の記事(NO.5「本牧メルヘン」)はこちらです。

前の記事(NO.3 Bonus Track「港町ブルース」)はこちらです。

全体構成・SET-LISTに戻る。

タイトルとURLをコピーしました